少子高齢化、労働力不足、医療介護費の増大など様々な社会課題に対し、地方創生、働き方改革、健康寿命の延伸、生涯学習社会の実現などに関して様々な取り組みがなされており、人工知能(AI), IoT(Internet of Things), 5Gなど情報通信技術(ICT)によるデジタル・イノベーションも期待されています。
運動・スポーツや食生活、学習、働き方や生産性、スマホ利用、身近な人や地域の人とのつながりやコミュニケーションなど、様々な分野の活動の主体は一人ひとりであり、ありたい姿としての目標やこれまでの習慣はそれぞれ異なります。健康、学習、働き方、スマホ利用、コミュニケーションにおける行動をありたい姿に変えていくためには、継続し、習慣を変えることが必要ですが、三日坊主という言葉の通り、日々の習慣を変えることは簡単ではありません。
そこで目標となる行動の継続を助け、避けたい行動を弱める「行動変容支援」を行い、楽しく無理なく続けられるように「習慣化」することが重要になります。常に身につけているスマートフォンを通してタイムリーにその人に合わせた情報の提示や行動を推薦するなど、デジタル技術を活用することができます。
本研究室は、**「一人ひとりに寄り添う習慣化デザイン」**をビジョンとして、デジタル技術を活用した行動変容支援の研究に取り組みます。「習慣化デザイン」とは、心理学や行動科学、情報学等に基づき、自分や他者の習慣を変えるための方法論であり、データやデジタル技術を活用することが特徴です。意思や根性ではなく、技術による問題解決のアプローチを提案します。ありたい姿としての目標行動の継続を助け、個人や地域社会のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)の向上に貢献します。
近年、スマートフォンやウェアラブル、環境のセンサーやアクチュエータなどのIoTが社会に浸透し、人や環境などのフィジカル空間の情報をデータ化し、サイバー空間でデータ解析し、解析結果をフィジカル空間へフィードバックするサイバーフィジカルシステム(CPS)の研究開発が進展しています。歩数や位置情報、移動手段、環境の温度など人の行動や状況を継続的に見守り、 予測や推論などの解析結果に応じたタイムリーな通知や対話などを通じて、一人ひとりの行動をアシストすることができます。人の日常的な行動の形成や変化を促す情報システムは行動変容支援システム(Behavior Change Support System)やeコーチングシステムと呼ばれ、活発な研究開発がなされています。
サイバーフィジカルシステムに基づく行動変容
目標行動の継続を助ける行動変容支援システムの実現に向け、様々な分野の専門家と連携しつつ、以下のような研究テーマに取り組んでいます。
習慣化サポートプラットフォームを通じ、個人・集団・地域における運動、学び、まちづくりなどの分野で社会実装に向けたトライアルを実施しています。